ホシノマチ団地のこれまでと考え方について

ホシノマチ団地のこれまでと考え方について、インターンに来ている東洋大学3年生の塩原万由花さんにまとめていただきました。

日本版CCRC構想ってご存じですか?
CCRCとは「Continuing Care Retirement Community」の略称です。
高齢者が健康な段階で入居し、終身で暮らすことができる生活共同体のことをいいます。

それでは「日本版」CCRCってどんなものだと思いますか?
日本版CCRC構想は「東京圏をはじめとする都市部で生活する高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指すことを目的にスタートしました。
この構想の意義としては
「地方移住を望む高齢者の希望の実現」
「地方への人の流れの推進」
「東京圏の高齢化問題への対応」
の3つがあげられています。

東京圏への人口集中が進む中、高齢者の地方移住がその流れを食い止め、地方創生に貢献することが期待されています。
加えて東京圏の高齢者増加による医療介護人材不足の深刻化や地方から職を求めての人口流出に拍車がかかることが予想されているため、その問題解決としても有意義であると考えられています。
自らが健康な段階で地方に移り住み、主体的に地域コミュニティに参加し多世代と交流するなどアクティブに暮らすことで、できる限り健康長寿を目指します。勿論、要介護状態になっても住み続けていくことができます。

1970年代にアメリカから発祥したCCRCですが、日本とアメリカの大きな違いがあります。それは対象者です。
日本のCCRCは標準的な年金月額で生活できる水準を想定しています。それに対してアメリカは富裕層を想定しています。
よって日本版CCRCはより広い人を対象としたものとなっています。

そして、みんなのまちづくりが提供する「ホシノマチ団地」は日本版CCRC構想に基づいたプロジェクトとなっています。

日本版CCRC「ホシノマチ団地プロジェクト」


ホシノマチ団地プロジェクトは、平成30年12月に国土交通省のモデル事業として認定されたもので、国の生涯活躍のまちの先進プロジェクトとして注目を浴びています。

これまでの経緯
内閣府が中心となって推進する生涯活躍のまちプロジェクトとに伴い長野県佐久市でも平成28年に生涯活躍のまちの構想を作成しました。
この構想に基づいて佐久市臼田地区がプロジェクト対象地域とされます。その後平成30年には団地活用を必須条件として事業主体を決定し、みんなのまちづくりが作るホシノマチ団地プロジェクトとなりました。平成31年5月から12月には毎月佐久市生涯活躍のまちをつくる会を実施し、どのような住宅が良いのか、何をしたいのかということを移住希望者の方々と話し合いました。

ホシノマチ団地の特徴は?
ホシノマチ団地は国のモデル事業となっているサービス付き高齢者向け住宅です。
従来のサービス付き高齢者向け住宅は介護を必要とした人を対象とした住居ですが、ホシノマチ団地は50歳以上の元気な方を対象に職住近接した空間の提供をします。提供するサービスも従来のサービス付き高齢者向け住宅のように、常駐するスタッフが行う安否確認や生活相談といった介護などのサポートだけではなく、地域になじむために人を紹介したり、イベントを紹介したりということも行うことにしました。
また、平成30年5月から12月に行われていた佐久市生涯活躍のまちをつくる会においての意見を多く取り入れています。第1回目の入居者の多くはこの会の参加者であるためコミュニティがそのまま移動し、ほどよい距離感で住むことが出来るのです。

佐久ブランドの発信
佐久市臼田地区には地域医療で先進的な佐久総合病院があります。
ホシノマチ団地は佐久総合病院と雨宮病院という2つの病院と連携協定を締結しています。そのため安心した医療・介護の環境を整備することができました。
また、佐久総合病院前にある佐久市健康活動サポートセンター(うすだ健康館)では毎日健康活動に関するプログラムが提供されており、健康増進に向けたさまざまな活動に参加することができます。
地域と病院の関わりが密接であればあるほど地域の健康状態はいいものになると考えています。
このような「地域との関わりが健康につながる」という考えを佐久ブランドとして日本、そして世界へと発信していきたいと考えています。

あなたがホシノマチ団地で活躍するために…
ホシノマチ団地では、ホシノマチアカデミーと題して3つの必須科目を設けています。
必須科目は
「介護職員初任者研修」「ITスキル」「健康」
になります。

「介護職員初任者研修」とは、介護を行う上で、介護者に最低限必要な知識や技術、そしてそれを行う際の考え方を身につけてもらい、基本的な介護業務を行うことができるようにするための研修です。

厚生労働省が定めているカリキュラムを修了し、筆記試験に合格することで資格の取得ができます。大学や専門学校に通わなくても受講が可能で、講座内容も介護をする上での基礎知識程度となっています。

「ITスキル」とは、LINEやパソコンといった簡単なITスキルのことを指します。今までの経験やスキルを活かすための場を作るためのITスキルを得てほしいと考えています。常駐スタッフが後押ししていくのでITスキルに自信のない方でも気負いせずに初めてもらうことができるようなものにしていこうと思っています。

「健康」とは、生涯活躍のまちづくりを掲げる佐久市において健康寿命を少しでも長くしてもらうためのものです。

現在佐久市に住む人の中には、農地が荒廃地にならないようにお金を払って野菜などを栽培してもらっている人もいます。

ホシノマチ団地は平成30年5月から12月に実施されていた佐久市生涯活躍のまちをつくる会での意見を参考に、団地から少し離れた場所に農地をご案内することにしました。ホシノマチ団地に移住することによって、健康志向で農的な暮らしを送ることが出来ます。

移住には不安がつきものです。
誰しも新しい環境、新しい人間関係に対して不安を抱くはず。
それは移住者も、そして受け入れる地元住民も同じです。
地域に受け入れてもらえるか、地域になじんでくれるか、そんな不安が出てくるかと思い
ます。
皆さんが地域になじめるように、移住者地元住民の両側からサポートしていくスタッフ
が架け橋となっていきます。

私たちがホシノマチ団地に期待していること
超高齢社会を迎えた日本。
高齢者が社会の負担、なんて言われてしまう…
しかしそこで私たちがホシノマチ団地に期待するのは、「何歳までも働き続けられる場」です。
60歳を迎えた今だから出来る仕事、何歳になっても続けられる仕事
そんな仕事をホシノマチ団地で作り出し、そしてたくさんの社長が住む団地になれば良いな、なんて思っています。
社会から必要とされる、ということは生きがいにもつながります。
そして佐久市という健康に特化したまちで健康長寿を目指していき、それが人口減少の歯止めへとつながっていけば良いと考えています。

課題先進国といわれる日本においてその中でも高齢化社会という問題は特に大きなものです。ホシノマチ団地が私たちの理想とする形になることで高齢化社会の課題解決になるのではないかと考えています。そしてこの方法を日本、そして世界へと発信していきたいと思います。